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​散歩

見上げるほどにますます大きかった

境内の樫の木は

ここからはすでに見えないのに

あちらこちらにどんぐりを落としていた

きみは熱心に内腿を隠しながら

ひとりで その木の実を拾っていた

ときに 乳母車を覗き込むように

ぼくはきみの帽子の下を覗きこんだ

いったい幾つ拾い集めたのか

それは薄布のハンカチのなかで

きっとまだ濡れてくりくりしていた

だが見渡すほどに記憶はかげり

きみの布のなかで種子はむずかり

樫の木は ますます遠いものになる

                 imuruta

ぼくの名前は不思議人<imuruta>ある日のこと道端で一頭の象と知り合いになりました。象はいつも陰になり日向になり、このあともぼくといっしょにどこまでも旅をつづけてくれるでしょう。ところでここに始まる不思議な世界は ぼくをどこに連れてゆくのでしょうか。これはとりあえず、ぼくの出発点 第一詩集です。

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