Home・詩集
歩行のリズム 目次
01 歩行
02 象
03 花の名
04 散歩
05 芝生
06 夕立
07 星空
08 夏
09 砂浜
10 採光塔
11 糸車
12 シャボン玉
13 天球
14 羊
15 新天地
16 綾取り
17 先生
18 サラバンド
19 マリオネット
20 夢
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それは 夕立が見せてくれた
ちいさい夢だったかも知れない
振り返るときみが小走りに駈けてきて
ぼくが思わず抱きとめた
夕闇がふたりを遠巻きにして
息を凝らして抱かれている
ときに 伸び上がるようにして
胸の動悸を抑えきれないでいる
耳と耳をかさね合わせ
ちいさい肩を慄わせながら
スカートの下に 腰がある
そのひととき 日暮れてからの夕立が
呼吸のようにひとしきり
ぼくの腕に降り込めている
imuruta