top of page
​夕立

それは 夕立が見せてくれた

ちいさい夢だったかも知れない

振り返るときみが小走りに駈けてきて

ぼくが思わず抱きとめた

夕闇がふたりを遠巻きにして

息を凝らして抱かれている

ときに 伸び上がるようにして

胸の動悸を抑えきれないでいる

耳と耳をかさね合わせ

ちいさい肩を慄わせながら

スカートの下に 腰がある

そのひととき  日暮れてからの夕立が

呼吸のようにひとしきり

ぼくの腕に降り込めている

 

                imuruta

bottom of page