top of page
​象

ほこりっぽい道を 象と歩く

象がぐいぐいと肩を押し付けて来るので

てのひらで鼻を叩いてやる

ひたいの汗は藁でごしごし拭いてやる

小石なんかどしどし踏み潰して

ほそい目で笑いかける

ひろい耳パタパタさせて

ときどき 遠い森を見たりする

ふたりして坂を駆け下りながら

両肘をうしろに持ち上げた勢いで

すこし浮かび上がってしまう

だけど 象は飛びたくない

字だって上手になんか書きたくない

象の足にみとれながら ふたりで黙って歩いて行く

                     imuruta

ぼくの名前は不思議人<imuruta>ある日のこと道端で一頭の象と知り合いになりました。象はいつも陰になり日向になり、このあともぼくといっしょにどこまでも旅をつづけてくれるでしょう。ところでここに始まる不思議な世界は ぼくをどこに連れてゆくのでしょうか。これはとりあえず、ぼくの出発点 第一詩集です。

© 2016 Designs by imuruta. created with Wix.com

bottom of page