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寒い夜は ふたり向かい合って秘密の編み物

きみの自慢はアランハニカムで ぼくは天竺編みで

きみ もう前みごろの出来上がるころだろうか

ぼくは 袖のゴム編みがもう終わるよ

年代物のストーヴの上でシュンシュンお湯が言い出すと

小さいあくびをしながら きみがお茶を入れてくれる

少し休憩だ ぼくは古い世界地図を拡げて

まるっきり ふたりになれる世界を探す

これを着ると誰でも羊になれるのだが

うつむいて もうずいぶん編んできたので

ふたりとも 頭の角が自然と内向きにカールしている

こころの貧しい人たちを すべて羊に変える計画も

ようやく終わりが見えて来たようだから

これが編み終わったら 念願の旅に出よう

                imuruta

ぼくの名前は不思議人<imuruta>ある日のこと道端で一頭の象と知り合いになりました。象はいつも陰になり日向になり、このあともぼくといっしょにどこまでも旅をつづけてくれるでしょう。ところでここに始まる不思議な世界は ぼくをどこに連れてゆくのでしょうか。これはとりあえず、ぼくの出発点 第一詩集です。

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