top of page
​花の名

すみれ 水仙 ヒヤシンス

あなたの表情を 春の雨のように

束の間濡らして通り過ぎてゆく

それをこそ やさしさと呼ぼう

初めておぼえた 花の名のように

その胸に 想いを秘め

暮れなずむ 鏡のある夕べの室内で

誰か 呼ぶ声でも聞こえたのだろうか

振り向いては 鏡にほほえんで見せる

その刹那 声もなくほおを染めて

うす絹のようにすべり落ちてゆく

不思議に白い花の名たち

あれは遥かな日 掌を濡らしていた浅い水 浅い色 

あなたの初めての恋のような

花の名 春の雨

          imuruta

ぼくの名前は不思議人<imuruta>ある日のこと道端で一頭の象と知り合いになりました。象はいつも陰になり日向になり、このあともぼくといっしょにどこまでも旅をつづけてくれるでしょう。ところでここに始まる不思議な世界は ぼくをどこに連れてゆくのでしょうか。これはとりあえず、ぼくの出発点 第一詩集です。

© 2016 Designs by imuruta. created with Wix.com

bottom of page