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花の名
すみれ 水仙 ヒヤシンス
あなたの表情を 春の雨のように
束の間濡らして通り過ぎてゆく
それをこそ やさしさと呼ぼう
初めておぼえた 花の名のように
その胸に 想いを秘め
暮れなずむ 鏡のある夕べの室内で
誰か 呼ぶ声でも聞こえたのだろうか
振り向いては 鏡にほほえんで見せる
その刹那 声もなくほおを染めて
うす絹のようにすべり落ちてゆく
不思議に白い花の名たち
あれは遥かな日 掌を濡らしていた浅い水 浅い色
あなたの初めての恋のような
花の名 春の雨
imuruta
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