top of page
あかし

あかしを下さい あかしを

木が木であることは分かる

花が花であることも

空なら雲の動きで分かる

いま何を感じ 何を黙考しているか

山ならその高さで分かる その威容で

いま何を祈り いま何を生きているか

道なら走っていることで

飛んでゆく風景で分かる

速さなら千切れてゆくぼくの翼で分かる

いましも脱げてゆく靴で

でも明日なら何で分かる このとりとめのなさは

ああ あかしを下さい あかしを

いちど失くせば もう二度と失くせない

そんなあやうい あかしを下さい 

                  imuruta

ぼくの名は 不思議人 < imuruta > ここに紹介しているのは、ぼくの 第3詩集にあたるものです。 つぎに紹介するはずの第4詩集<月下の道>とペアを組んで、ひとつの夢の世界を構成しています。集中、ぼくのお気に入りは<ユン>です。彼女はぼくの夢の中を文字通り難なくすり抜けて、おそらく次の<月下の道>にも登場してくれることでしょう。

© 2016   produced by imuruta with WIX.com

bottom of page