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みをつくし

ミズナギ ミズアオイ ミチノクコゴメグサ

葉おもて白く陽に映え 葉うら心の如く影をふちどり

今日もひとり <淋しさの果てなむ国>を行く

みをつくしの影に惹かれ みをつくしの影を追い

ひとつ葉を手折り ひとつ名を覚え

一つひとつ心の軌跡を書きとめては眠るのだが

こんなに頬の火照るのは 一日じゅう陽を浴びていたから

こんなに手の熱いのは いっしんに人を思ってのこと

手や 頬の火照る夜には

昔から濡れ手拭いをひたいに当てながら眠ったものだ

いずれ今夜も 赤ん坊のように指を吸いながら

草花の名を一つひとつ思い出しては眠るのだが

ミヤマタニソバ ミヤマラッキョウ ナンバンギセル

ミヤマハンショウヅル ミヤマカタバミ ハクサンフウロ

夢がつづら折りの道を縫うように昇れば

この国はどこも美山 うるわしの国

                       imuruta

ぼくの名は 不思議人 < imuruta > ここに紹介しているのは、ぼくの 第3詩集にあたるものです。 つぎに紹介するはずの第4詩集<月下の道>とペアを組んで、ひとつの夢の世界を構成しています。集中、ぼくのお気に入りは<ユン>です。彼女はぼくの夢の中を文字通り難なくすり抜けて、おそらく次の<月下の道>にも登場してくれることでしょう。

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