top of page
みをつくし
ミズナギ ミズアオイ ミチノクコゴメグサ
葉おもて白く陽に映え 葉うら心の如く影をふちどり
今日もひとり <淋しさの果てなむ国>を行く
みをつくしの影に惹かれ みをつくしの影を追い
ひとつ葉を手折り ひとつ名を覚え
一つひとつ心の軌跡を書きとめては眠るのだが
こんなに頬の火照るのは 一日じゅう陽を浴びていたから
こんなに手の熱いのは いっしんに人を思ってのこと
手や 頬の火照る夜には
昔から濡れ手拭いをひたいに当てながら眠ったものだ
いずれ今夜も 赤ん坊のように指を吸いながら
草花の名を一つひとつ思い出しては眠るのだが
ミヤマタニソバ ミヤマラッキョウ ナンバンギセル
ミヤマハンショウヅル ミヤマカタバミ ハクサンフウロ
夢がつづら折りの道を縫うように昇れば
この国はどこも美山 うるわしの国
imuruta
bottom of page