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楓よ楓
そもそもいのちがそうであるように
秋は稔りと 絶え間ない喪失の季節
楓よ楓 その仔狐の赤い手袋を
ポプラよポプラ その金色の葉を惜しげもなく降らせ
トネリコよトネリコ その空を仰ぐ姿は
やがて秋雨を待って そのながい髪を濡らさんがためか
ユリノキよユリノキ その立ち姿池の淵にすずしく
きみはどんな深思の祈りを天に捧ぐ
今しも風にさらわれた一枚の葉が
地上に舞い落ちるまでのその数瞬
楓 ポプラ トネリコ 楓 ポプラ トネリコと囁きかわすが
それはまるで風と葉の 風と葉の 風と葉のかけがえのない愛の呪文にも聞こえる
あかいあかい一枚の葉を 楓と呼び
金色にこんじきにきらめく葉を ポプラと呼び
その一つひとつの葉を 何回もなんかいも記憶し
こうして秋のくるたびに呟きかわすぼくら かんぜんに無名の恋人たち
imuruta
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