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素足

私は ここにいます

私は もうどこへも行きません

私は じっとここで立っています

ここにしか私の居場所はないのですから

あなたの夢の中にしか

あなたは自由に出入り出来るのですから

詩の外へも この夢の中へも

あなたは気ままに出入りすればいい

私は ここにいます

私に 他にどこにゆくところがあるでしょう

私はここに ここにずっといます

ここにしか愛する人はなく

もうあなたしか 思う人はないのですから

ただどうか 開かなくなった手を責めないで欲しいのです

あなたの目が つねに私を追っているのは分かるし

あなたには いつでも素足を見せてあげたいが

それもここではままならないので

せめてもの罪ほろぼしに

こうして かかとでもお見せするほかないのです

ああ それでも私は怖いのです

あなたの言葉が あなたの眼差しが

ここにこうして立っていても

あなたが見ているときだけ じつは私はここにいて

あなたが目をそらしたとき

私は もうどこにも居ないのではないかと

                imuruta

ぼくの名は 不思議人 < imuruta > ここに紹介しているのは、ぼくの 第3詩集にあたるものです。 つぎに紹介するはずの第4詩集<月下の道>とペアを組んで、ひとつの夢の世界を構成しています。集中、ぼくのお気に入りは<ユン>です。彼女はぼくの夢の中を文字通り難なくすり抜けて、おそらく次の<月下の道>にも登場してくれることでしょう。

© 2016   produced by imuruta with WIX.com

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