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夏草のあいだに ポクッと出た仔狐の顔
化けそこねたのか
三角のはずの顔がまるい
どこでいたずらしてきたのか
さっき鼻先についた泥が
いまにも乾きはじめて
ちょっとこそばゆい
風立ちぬ
見渡すかぎり草原はその彼方まで青く
風は 青のすみずみまで波立てて行く
風は 風はどんな匂いを君に届けた
そして君は 風のどんな青さまで嗅ぎ分けた
嗅ぎながら嗅ぎながら
ちょうど正面を見つめたとたん
いったい何に驚いたのか
地球もいっしゅんその自転を止める
ああその刹那 見つめあった瞳と瞳は
かつてこの時 何におどろいたのか
ぴょんと跳ねると
視界のどこを捜しても
もう君はいない
imuruta
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