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鈴懸の道
花 分けて下さいますか
名 明かして下さいますか
いちずに祈りおる夕刻に
すれ違うきみ 素足
晩春の風に 花々もまれ
掃き出す庭に 色とりどりに散る
糸 紡いで下さい
機 織って下さい
富むためではなく
すでに 失くすために
名無し指に指抜きはめて
古い裁縫帖開けば
なつかしい鈴の図案も
幾つか見つかるだろう
目の子算でいい
たとえ いびつでもいい
どうか もうひとつ
鈴 編んで下さい
きみと ありし日
日暮れを待って 歩き出せば
それは どこまでも鈴の鳴るみち
ぜんたい鈴懸のならぶ 夢の道だよ
imuruta
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