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​ヌスラット

イスラム モスク ムハンマド

回教の国では おそろしく濃い紅茶に

搾りたての山羊の乳を注ぎ

ハラルフードとともに朝の糧とするが

昼 彼らは仕事を中座しても

定められた時刻がくると床にひれ伏して祈り

おんなたちのほとんどは 

法の定める通り 顔を隠して通りを歩く

時を経て 西欧との交流も常のことなれど

厳しい戒律にしばられた慣習は変わることはない

 

メヴラーナ メヴレヴィー アシュラーン

だが何ゆえの秘匿 何ゆえの法典

それはいっしゅ 眼差しのための反語表現なのか

非人称による さらなる人称を顕揚するための絡繰りなのか

いずれそれは 美顔のもんだいなのか

それとも それを所有する男たちの

私欲に依るものなのか判然とはしないが

ひと前に顔を晒すとは 紛れもない表情をむき出しにするとは

ああ 人称とは 非人称とは 不定人称とは

いずれ 裸体で裸身を隠すことは出来るが

裸身で裸体を隠すことはできない

 

アーイン アジェム ペシュレヴィ

ところでこんにち 足を見せて表通りを歩くことは 

流行り すたりのもんだいではなく

世界にたいする実存のほうからのいさぎよい一様態だが

そしてまた いつの世も

穏健派のほうからどんな横槍が入らぬでもないが

世界は全天球カメラの映像のごとく 

どこから見ても 開放されていなければならない

 

ヌスラット・ファテ・アリ・ハーン

いずれ法が長いか 

人類が長いかの無窮問答なのだろうが

朗々とひびくコーランの高唱は

時がときの終わりをひも解くかに見えて

おんなの顔という 成りたての神秘を

あらかじめ疑いの余地をなくした上で

今日も あからさまに隠しつづけてやまない

            imuruta

ヌスラット.PNG

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これはぼくの第五詩集<イザーイ>です

 

​詩とは何か 詩とは、敢えて言えば思考の不可能性に対する 果敢な挑戦である 詩は、その第一行目からとある文脈を提示する そして、二行目以降はその展開でありながら、つねにすでに間断なく

思考に挑戦しつづける 状況把握が必要なのか あえて書かなかったことを推理する力が必要なのか、それとも、ただ直観を信じてひたすら読み進む力が必要なのかは、あなた次第だ 何にしても、ここにひとつの求心力を提示したかった 詩は、つねに日常言語を模倣するが、かならずや もって非なる世界を提示する

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