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​血の道

窓に蛍のくる夜は 猫みたいに

尾を振りながらあなたを待ちたい

虫の音のかまびすしい夜は 猫みたいに

頭をさかさまにして夢みていたい

暖炉の燃えさかる夜は 猫みたいに

あおむけに寝てなされるがままになっていたい

涙の止まらない夜は 猫みたいに

じっとがまんして 闇をにらみつけていたい

こんなよるは蜜も濃く

唾液もながく糸をひいて離れる

ああ 猫のように自分のことはじぶんでしたい

でも どうにもひと恋しい夜もあって

ぴんと立てた尾のさきを昇ってゆく血の道

何か堅いものを引っ掻きたい

なにか柔らかいものを捜してもて遊びたい

それから ゆっくりと夜の息の音を止めたい

ああ 猫みたいにねじ曲げられたい

猫みたいに目隠しされたい

猫みたいにあかい首輪を付けられたい

そして 猫みたいに耳のつけねを噛まれたい

じゃけんにされたい 鈴のように弄ばれたい

それから 声を包んでいる布を剥ぎ取られたい

それから どうか本心を聞かれたい

骨のすみずみにまで沁みる 猫の声で

                   imuruta

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