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​夕燕

赤シャツに ブルーのバンダナ颯爽と

あの町この町のして歩けば

振り向くあの子は 花売りむすめ

おちょぼ口尖らせて 口笛吹けば

きっと微笑む 目くばせ返す

爪だってほら こんなに綺麗に研ぎ揃えて

髭もピンと威勢よく

きみフレッシュなら ぼくはシャイ

横道 抜け道 じゆう自在

あの角 この角 角ごとの恋

風に歌えば にゃーお なあーぁお

流れる声は 甘くせつなく

ミラボー橋のたもとでひと息すれば

飴いろの空に 雲ひくく垂れこめ

川面とぶツバメも 愁眉おくるが

からす瓜のような日が西に傾くころには

おなかが空いて ぼくも帰る

こんな夜は 降る星も眠たげなら

子猫も どうやら恋疲れ

秋の宵は 冷えまするので

ひと肌も恋しいけれど

夕見たツバメも 南に帰りたかろ

          imuruta

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