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​レオナルド

レオナルド わたしが微笑んだのはあなたにだけ

あなたが思索に暮れる散歩のとちゅう

ふと水を求めてわたくしどもの 扉を叩かれてもう幾年

あの頃あなたは 空気力学と翼の研究をしておられました

とつぜん空を飛ぶんだとおっしゃった時 皆どれほど驚いたことでしょう

たとえ皆のものが信じていなくとも わたしだけは

いまでも あなたが飛ぶものと思っています

あの飛翔の失敗から あなたは無口になられ

今は 水と終末の研究に没頭されているようです

水はほんとうにまた全世界を 呑み込んでしまうものなのでしょうか

終末とは神の怒りではなく やはり動力学の一種なのでしょうか

それとも夕暮れの一杯の水が なにか禍いしたのでしょうか

ああ わたしの考えまでレオナルディングしはじめて

ただわたしに返せたのは 後世になって謎と呼ばれる微笑みだけでした

                      imuruta

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これはぼくの第五詩集<イザーイ>です

 

​詩とは何か 詩とは、敢えて言えば思考の不可能性に対する 果敢な挑戦である 詩は、その第一行目からとある文脈を提示する そして、二行目以降はその展開でありながら、つねにすでに間断なく

思考に挑戦しつづける 状況把握が必要なのか あえて書かなかったことを推理する力が必要なのか、それとも、ただ直観を信じてひたすら読み進む力が必要なのかは、あなた次第だ 何にしても、ここにひとつの求心力を提示したかった 詩は、つねに日常言語を模倣するが、かならずや もって非なる世界を提示する

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