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つくつく法師
梨むこうか 梨
梨食べたくないなら
苹果むこうか 苹果
苹果ならまだ青いが
梨ならもう熟れて
じっくん じゅっくん
まだ暑さののこる夏
きみも影絵 ぼくも影絵
縁側できみの剝いてくれた梨を頬張る
そんなにいちどに頬張って
きみの顔が どんぐり詰め込み過ぎた
栗鼠に化ける
人参齧り過ぎた 兎に化ける
おいしいねと きみ
美味しいねと ぼく
腋のした匂えば
汗もかぐわし
いずれ そこもまた
このあいだ もう栗出てたね
親指でしるし付けて
栗剝くの ぼく上手だし
こんど栗 蒸してね
なかんずく 笑顔耐えなん
時も止まれり
晩夏のえだ高く
つくつく法師鳴き
じっくんよーし じゅっくんよーし
梨 食べ終わったら
つぎは行水だ
でも このジョーゼット
ちょっと透けすぎじゃない ときみ
きみの素肌に水玉が飛び散る
そうかな ちょうどいいくらいじゃない とぼく
これ以上 書きすぎなければの話だが
いずれ かすみ幕の向こうは
つくつく法師の鳴きやむまでの
しゃぼん玉の世界
じっくんよーし じゅっくんよーし じぅー
imuruta


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