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​フーガ

フォークダンスのメロディは

どれもかなしく どれもせつない

流浪の民がいるように

きっと 哀しみの民もいる

連なる山々の内ふところで

ぼくが口ずさむと きみが廻る

短いスカートを思いきり拡げて

子どもの頃に習い覚えた童謡は

どれも悲しく どれもせつない

人知れずぼくが口ずさむと

きみが そっと耳を傾ける

きっと音楽の民がいるように 詩の民もいる

連なる島々の真ん中で

ぼくがこっそり書き留めると

くすぐったそうに きみが読む

スカートの下に行儀よく ひざ小僧を並ばせて

アリアを聴いた翌日は

何故か カノンを書きたくなる

孤高の民がいるように いつも追憶の民がいる

妙なる音符のただなかで

ぼくが合図を送ると きみがそっと歌いだす

指をひとりでに くるくる回しながら

フーガをもらった夕べには

なぜかパッサカリアを書きたくなる

きのうも ヴァイオリンを弾いてた子がいたように

今日もう カスタネットを手に踊るきみがいる

連なる詩と詩のただ中で ぼくがきみを見つめると

きみがこっそり見つめ返す

黙っていても 心にふれる笑みとえみ

                     imuruta

ぼく名は不思議人<imuruta> ここに紹介
しているのは ぼくの第三詩集<愛の新世界>
ペアを組んで ひとつの夢の世界を構成する

<月下の道>です これらの詩は遠い処から来た
それはまるで この地球に降りたつと同時に
記憶喪失に陥ったかのような 遠い夢の破片から
「私を忘れないでいて欲しい」という 何かか細い
星からのメッセージのように ぼくの耳には
聞こえました ぼくは耳の奥で呟き続ける
これらの声をここにしるしました 皆さんの耳には
​どんな風に聞こえるか分かりませんが・・

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