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あさき夢みし

ここだけ みどりに藻のただよい

暑気から しいんと取り残された世界

涼しげな 夏の金魚鉢

顔を近づけて中をのぞけば

みどりの向こうからも近づいてくる顔

風鈴 ゆうだち 宵待ち草

夜を待ちきれなくて あさき夢みし

ここだけ さ青に水のたゆたい

暑気から そっと切り離された世界

冷ややかな 夜の星座表

鏡のごとく中をのぞき込めば

さ青の 向こうからも近づいてくる額

すばる 犬星 おおくま座

星を待ちきれなくて あおき夢みし

ここだけ しずかに影のただよい

暑気から わずかに転位した世界

忘れがたし 床の間の水晶盤

瞳を近づけて中をのぞけば

向こうからも見返してくるなつかしい眼差し

約束 打ち水 線香花火

きみを待ちきれなくて ありし夢みし

そこだけ涼しく花の落ちる

暑気から 遠く隔離された世界

まだ見ぬ 往事の苔の庭

朱印を目じるしに訪ね行けば

向こうからも尋ね来る戸惑い

蚊遣り ふみ机 書きかけの原稿紙

詩を待ちきれなくて きみが夢みし

            imuruta

ぼく名は不思議人<imuruta> ここに紹介
しているのは ぼくの第三詩集<愛の新世界>
ペアを組んで ひとつの夢の世界を構成する

<月下の道>です これらの詩は遠い処から来た
それはまるで この地球に降りたつと同時に
記憶喪失に陥ったかのような 遠い夢の破片から
「私を忘れないでいて欲しい」という 何かか細い
星からのメッセージのように ぼくの耳には
聞こえました ぼくは耳の奥で呟き続ける
これらの声をここにしるしました 皆さんの耳には
​どんな風に聞こえるか分かりませんが・・

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