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包めば宜しいのでしょうか
それとも 包まぬ方が
包むものとて 綿 麻 絹
大は返って 細かな市松で
小なら ほら大胆な花柄で
熟れるものなら 熟れるさきから
濡れるものなら 濡れるにあかせて
思し召しに少しでも叶うようにと
一日中 あれこれあれこれ悩みぬいて
これではまるで かいこの紡いだ繭ひとつ
初ものを裾分けするにも この身ひとつ
包めば宜しいのでしょうか 包まぬ方が
包むものとて白無垢か 汗をかく真綿か
なおさらやさしい闇で目隠しなされるなら
いわんや繭など あなたが解けばいい
アッサムがお気に入りでしたっけ オーガニックが
紗 羅 綸子 シフォン シャンタン ジョーゼット
なにしろ唇を包めば包んだで 解きにかかる
ましてや盗んだら盗んだで 許しに掛かる
ひとしお分からぬ分からぬが 分かるあなただが
解けばいいのでしょうか 解かぬ方が
許せばいいのでしょうか 許さぬ方が
盗まれるままでいいのでしょうか 盗ませぬ方が
あまつさえ 足手まといの多いのに
ひときわ 今宵は声も憚らず
さあどうしましょう 無闇にとどまる処もわきまえず
盗まぬ先から 素振りばかりでその気にさせるが
解いても解いても 結んだ謂われは解けはせぬ
いっそ 目にうるさいほど肌身はなさず打ち解けてしまえば
このどうどう巡りに輪を掛けて閉じ込められように
繭 繭の中あたたかければ
繭を透いてくる光艶めいて
ようよう目に余る尻馬にも乗れましょう
包まれたいのでしょうか 包まれたくないのでしょうか
盗まれたいのでしょうか 盗まれたくないのでしょうか
いずれほおっておいても 夜が迎えを誰にも拒めむ
imuruta
白無垢
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