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​鹹湖

「胸はいま 

 熱くかなしい鹹湖であって」

祈るより他すべもなく

「鞍掛山も むろんです

 ぜんたい鞍掛山はです」

「ur  cocoroとも申すべく」

「爬虫がどれか鳥の形にかはるまで」

ひとり 風にみとれているよりないのです

 

それにしても 汽車は

「どうしてあんなにひっきりなしに

 凍った汽笛を鳴らすのか」

ひとりきみの胸をたたき 

ひとりじぶんの胸をたたき

「うつくしいソプラノ」のあかしを乞い 

「ぼろぼろの外套」の印をえぐり出し

生き急ぎ 死に急ぎ 唯らあらあと歌って行く

  

             imuruta

​注: 括弧内は宮沢賢治の詩からの引用です

これは ぼくの六番目の詩集です

<水のもの><月のものを>呼び込んでの

ジャパニーズ・バーレスクの世界をご堪能下さい

 

​明日香風 いたづらに吹く いづくにか かくだにも

見れど飽かぬ ま幸くあらば またかへり見む 

旅ゆく君と 知らませば さやく照りこそ

呼子鳥 象の中山 かねて知りせば うらさぶる

​心さまねし ひさかたの 天のしぐれの 流れあふ見れば

うるはしき とををにも 妹が心に ますらをの 

恋ひにてし 匂ふまで ゆめこの花を 風にな散らしそ

かへり見すれば 人の眉引き 月傾きぬ

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