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愛染

いちめんにもみじ散り敷く池を漕ぎゆく

二羽の鴛鴦の仲睦まじく

雉のそれよりもまだ豪奢な玉虫色の襟あし

どんな遠近法のそれで水面に金色の映える

片えがついと前に出ると いまかたえがすうっと就いて出る

いずれが誘いし夜の舟出か

山水の道下りて こんな風雅に立ち会おうとは

まといつく笛の音は誰がうたう恋のうたか

いましがた すれ違うふりして囁いたひとことは

聞こえたくせにわざと反対に回るきみは

見上げれば緋と金色に時は映ろい

あがくきみを押さえて 口うばいぬ時はいま

おお玉章の如き二羽を抱きて 夜更けぬれば

池畔の木立に掛かりし月影 ますます金色を深くする

                   imuruta

これは ぼくの六番目の詩集です

<水のもの><月のものを>呼び込んでの

ジャパニーズ・バーレスクの世界をご堪能下さい

 

​明日香風 いたづらに吹く いづくにか かくだにも

見れど飽かぬ ま幸くあらば またかへり見む 

旅ゆく君と 知らませば さやく照りこそ

呼子鳥 象の中山 かねて知りせば うらさぶる

​心さまねし ひさかたの 天のしぐれの 流れあふ見れば

うるはしき とををにも 妹が心に ますらをの 

恋ひにてし 匂ふまで ゆめこの花を 風にな散らしそ

かへり見すれば 人の眉引き 月傾きぬ

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