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ホモ ホモニム ホモフォニー 

血管のなかで 血の子どもがとめどなく騒ぐ

ひとときもじっとしていられない 夏の子どもたち

長い髪を切って おかっぱに戻りたい

もういちど ホモサピエンスに還りたい

誰に見られようとかまわず 半ズボンを穿いて走りまわりたい

ホモジェネシス ホモセントリック ホモデウス

ああ もういちど男の子に戻りたい

ひとりのブルーな子 ひとつのブルーな集団

小さい胸に 細い腰に 地上からまっすぐ伸びた長い足に

振り向いた目に 音もなくひとすじのブルーが走る

 

ああせめて 髪を掻き揚げたい 紅を引き直したい

それから投げやりでいて細かく気の付く

そらぞらしいくせに骨惜しみしない

どっちでもいいような顔して まったく事足りてる

あのどうにも表現しようのないブルーを どうしても真似てみたい

 

こうしてまるで 乳房のように愛されながら

これは夏だからではのいらだちなのか

人間であることの迷いと おんなであることの迷いのなかで

じぶんにないブルーに嫉妬し ありもしない選考会に備え

今日も水に乗りながら もう一本もういっぽんと距離を伸ばす

                imuruta

​水練

これは ぼくの六番目の詩集です

<水のもの><月のものを>呼び込んでの

ジャパニーズ・バーレスクの世界をご堪能下さい

 

​明日香風 いたづらに吹く いづくにか かくだにも

見れど飽かぬ ま幸くあらば またかへり見む 

旅ゆく君と 知らませば さやく照りこそ

呼子鳥 象の中山 かねて知りせば うらさぶる

​心さまねし ひさかたの 天のしぐれの 流れあふ見れば

うるはしき とををにも 妹が心に ますらをの 

恋ひにてし 匂ふまで ゆめこの花を 風にな散らしそ

かへり見すれば 人の眉引き 月傾きぬ

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