top of page
ホモ ホモニム ホモフォニー
血管のなかで 血の子どもがとめどなく騒ぐ
ひとときもじっとしていられない 夏の子どもたち
長い髪を切って おかっぱに戻りたい
もういちど ホモサピエンスに還りたい
誰に見られようとかまわず 半ズボンを穿いて走りまわりたい
ホモジェネシス ホモセントリック ホモデウス
ああ もういちど男の子に戻りたい
ひとりのブルーな子 ひとつのブルーな集団
小さい胸に 細い腰に 地上からまっすぐ伸びた長い足に
振り向いた目に 音もなくひとすじのブルーが走る
ああせめて 髪を掻き揚げたい 紅を引き直したい
それから投げやりでいて細かく気の付く
そらぞらしいくせに骨惜しみしない
どっちでもいいような顔して まったく事足りてる
あのどうにも表現しようのないブルーを どうしても真似てみたい
こうしてまるで 乳房のように愛されながら
これは夏だからではのいらだちなのか
人間であることの迷いと おんなであることの迷いのなかで
じぶんにないブルーに嫉妬し ありもしない選考会に備え
今日も水に乗りながら もう一本もういっぽんと距離を伸ばす
imuruta
水練
bottom of page