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​罌粟畑

罌粟畑はるかに 銀色の月が掛かり

中空に てんてんと五雲たなびき

花びらそこここでひんやりした夜風に揺られる

時おり この畑に影が落ちてくるのは

あれは雲ではない 夜渡る鳥の影

もしここで きみに話すべきことがあるとしても

もう身振りのほか 言葉はいらない

むこうで影絵のように静かに話す人々

あれは何か この国の手話なのだろうか

それとも 愛しき人をとむらう祈りの姿なのか

夜更けて ときに黒猫が顔をあげてこちらを見るよりほか

もう気に止めるものもない 時も止まれり

遠く花鳥を埋め 罌粟の花粉風に舞えば

夜風のようにひんやりとふたり 愛の河を渡る

                    imuruta

これは ぼくの六番目の詩集です

<水のもの><月のものを>呼び込んでの

ジャパニーズ・バーレスクの世界をご堪能下さい

 

​明日香風 いたづらに吹く いづくにか かくだにも

見れど飽かぬ ま幸くあらば またかへり見む 

旅ゆく君と 知らませば さやく照りこそ

呼子鳥 象の中山 かねて知りせば うらさぶる

​心さまねし ひさかたの 天のしぐれの 流れあふ見れば

うるはしき とををにも 妹が心に ますらをの 

恋ひにてし 匂ふまで ゆめこの花を 風にな散らしそ

かへり見すれば 人の眉引き 月傾きぬ

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