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錦鶏
枝の葉にせつなく雪の降りつもり
樹木の幹さえ見分けがたいこの朝
木の下闇からそれでも顔をもたげるのは京唐子か綴錦か
錦鶏が二羽不安げに見上げし空は
槇か笹か 枝の葉はどの一枚も下を向いて
じっと 雪の重みに耐えている
迷ったのか それとも落ちるべく落ちたのか
短く鳴き交わしては浮上を図るも
ただ溶け落ちる雪の雫だけが
二羽の飛翔を支える具象の速度だとは
ああ どんな図柄もぼくらの羽搏きを
ぼくらの胸の鼓動を描き切れはしまい
いのちの いのちの迅さとは
あらかじめ失いし約束の日々は
前垂れにこんな緋を選んだのは誰か
君は きみはいつまでその身を匿し続けられる
imuruta
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