top of page
​木菟

根のるいるいと地上に露出したるは

長き歳月の 土を侵食せしゆえか

そこだけぼおっと浮いて見えるのは

木菟の 夜を監視せしゆえか

ぴんと跳ねた一対の耳羽は何を聴く

木の虚ふかく身を寄せし木霊をか

此の木 樹齢四百年はとうに超えよう

いのちがいのちを孕む夜は

闇もどこか張りつめ 青葉も音もなく慄える

おお 木菟に守られし碧つのる夜は

一つ思いをひとつ虚に収めて

飽くなく 果てなく沈みゆく

無名の夜は 無名のままに

無名のわれらは 無名のままに

             imuruta

bottom of page