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​木菟

根のるいるいと地上に露出したるは

長き歳月の 土を侵食せしゆえか

そこだけぼおっと浮いて見えるのは

木菟の 夜を監視せしゆえか

ぴんと跳ねた一対の耳羽は何を聴く

木の虚ふかく身を寄せし木霊をか

此の木 樹齢四百年はとうに超えよう

いのちがいのちを孕む夜は

闇もどこか張りつめ 青葉も音もなく慄える

おお 木菟に守られし碧つのる夜は

一つ思いをひとつ虚に収めて

飽くなく 果てなく沈みゆく

無名の夜は 無名のままに

無名のわれらは 無名のままに

             imuruta

これは ぼくの六番目の詩集です

<水のもの><月のものを>呼び込んでの

ジャパニーズ・バーレスクの世界をご堪能下さい

 

​明日香風 いたづらに吹く いづくにか かくだにも

見れど飽かぬ ま幸くあらば またかへり見む 

旅ゆく君と 知らませば さやく照りこそ

呼子鳥 象の中山 かねて知りせば うらさぶる

​心さまねし ひさかたの 天のしぐれの 流れあふ見れば

うるはしき とををにも 妹が心に ますらをの 

恋ひにてし 匂ふまで ゆめこの花を 風にな散らしそ

かへり見すれば 人の眉引き 月傾きぬ

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