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牡丹

闇にぼおっと咲くねむたげなる牡丹

二十輪はゆうに超えようか

はだけた乳房の如く重きその花

何が苦しくて開く その縁からほころびる

鄙びた簾を巻き上げれば 庭は花また花

かぶりを振って思う人はいずこ

緋白匂う 狩野派山楽のその半双

如何に巧緻な修辞も写実を超えぬか

だが 実とは修辞の綾と煤けた金箔が教える

君ら 夜に酔いし 夜を酔わせし花々

そのうなじを咥えて誰か暗がりの巣へと運ばん

いずれ これ以上開きようもなく開けば

あとは晩春の閨と散るばかり

けだし宵の庭は 風もねむたげなる夢のまた夢

                  imuruta

これは ぼくの六番目の詩集です

<水のもの><月のものを>呼び込んでの

ジャパニーズ・バーレスクの世界をご堪能下さい

 

​明日香風 いたづらに吹く いづくにか かくだにも

見れど飽かぬ ま幸くあらば またかへり見む 

旅ゆく君と 知らませば さやく照りこそ

呼子鳥 象の中山 かねて知りせば うらさぶる

​心さまねし ひさかたの 天のしぐれの 流れあふ見れば

うるはしき とををにも 妹が心に ますらをの 

恋ひにてし 匂ふまで ゆめこの花を 風にな散らしそ

かへり見すれば 人の眉引き 月傾きぬ

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